日がな一日主婦の趣味ブログ

本と映画とエトセトラ

2023年12月 最近読んだ本まとめ

最近と言っても1~2ヶ月ほど前に読んだものを今更ながら所感の書き起こし。

 

 

オーラの発表会|綿矢りさ

作家は好きなのだけれど、この話はあんまり好きくなかった・・・!

主人公の海松子は他人に自分だけのあだ名をつける癖がある、との設定を見ててっきりシニカルな人間模様のストーリーかなと思ったんです。これまでも綿矢作品ってそういう斜に構えてる系のお話やそういうキャラが多かったので。

でもいざ読み進めるとそうではなく、「変な主人公」を構成するための一部だったというだけで――はっきり言ってしまいますと、綿矢りさ版『コンビニ人間』でした。

 

ほんとに申し訳ないんですが、これを察した瞬間

「またお前か・・・( ´Д`)=3」

とモチベーションが下がる。

 

コンビニ人間』でもそうなんですけど、さも主人公が人とズレてるかのごとく刷り込んでくるのが気に食わんのですよ。実際考えてみるとそうでもないのに。

人の口臭でゴハン当てするのも、一人で凧揚げが趣味なのも別に普通の域でしょうよ。他にもコミュニケーション難ありっぽい場面は諸々あって変っちゃ変なんですよ。変ですけど変よりの普通って感じ。

 

 

 

 

 

私の見識では社会に馴染めない人間て、こういうタイプか

 

萩尾望都カタルシス』より

 

もしくはこういうタイプ

悪の教典』予告より

 

 

海松子自身が「自分は周りの人間と違うのではないか」と悩む心があるならこちらもストーリーに入り込めたのですが・・・・・・本人気にしてないんですよね。

「じゃあ・・・そのままでいいんじゃない?」としか言えない。

読み終えても、海松子って一体なんだったんだろう。ネオ人類?ってなるんですよ。

 

世間とズレた人間を書きたいのなら、逆にサイコパスやソシオパスな行動があってもいいし、

いっそ普通の女の子にするのならば、ただただお友達たくさんのキラキラしたキャンパスライフやありがちな恋愛模様なんかを読んでみたかったかな。それこそ少女漫画みたいなね。

折角の創作物なのだからキャラクターにもっと幅きかせれたのではなかろうかと。もうちょっとエンタメしてほしかった感が拭えませんでした。

 

タイトルの伏線(?)も展開が唐突すぎてついていけなかった。結局どういうことだってばよ?みたいな。

 

 

 

 

 

グレート・ギャツビーF・スコット・フィッツジェラルド

最後の最後までほとんど抑揚なく物語は進みます。名作と言われているにも関わらず、終着点はどこなのか予測がつかない。文章を味わう間もなく、結末が気になりすぎてページを捲る手が止まりませんでした。

・・・・ギャツビーの最後、切ないですね。

さすがに無情すぎて腹立ってきましたもん(笑)カネで繋がってる縁なんて砂山より脆いもんです。芥川龍之介の『杜子春』と似てるかも。

読み終わってから、ギャツビーの初登場シーンをもう一度読むと切なすぎて涙が出てきます。

彼は暗い海にむかって奇妙にも両手をさしのべた。(略)そこには遠く小さく、桟橋の尖端とおぼしいあたりに緑色の光が一つ見えただけで、ほかには何も見えなかった。

蛇足ですが、フィッツジェラルドこの作品を29歳で執筆したってマジです?あまりにも人生悟り過ぎで驚きです。

 

 

老人と海アーネスト・ヘミングウェイ

老人が3日間巨大カジキと戦う話。これ読んでるとねえ、2歳児の抱っこごときで音を上げちゃいけねえなと思います。このおじいちゃん3日間カジキに引っ張られながら、その間に小さい魚(シイラ)釣って捌いて食べるんですよ?これを見てると女の入る隙のない漢の戦いだなと思います。まさに敵と書いて友と読むような完全孤独の一対一の戦い。常に限界突破の戦いにこちらの心臓がドキドキしてきます。

たいしたやつだぜ。美しい。騒がない。品がある。なあ、兄弟、おまえみたいなのは初めてだ。そら、かかって来い。こうなったらどっちがどっちを殺してもいいさ。

頭も腕も自分のモノではないような感覚。孤独故に、老人を島で待っている少年に思いを馳せ、海鳥を話し相手にする。これがなんだか読んでると潮風や潮の匂いを感じさせてくれるんですよね。海って広いけどなんにもないよなあと。

 

またまた余談ですが、『イコライザー』主人公のデンゼル・ワシントン演じるマッコールさんの読んでいる本がこの『老人と海

めちゃくちゃマッコールさんにぴったりなんですよねこれがまた。監督か脚本か小道具スタッフかわかりませんが、センスめちゃくちゃ光っとんなと思いました。

映画.comより

 

 

 

引っ越しが決まり、ちまちま荷造り中。荷詰めって意外と頭使うので難しい。