日がな一日主婦の趣味ブログ

本と映画とエトセトラ

『AKIRA』観た

現在Youtubeにて無料配信中。見たことなかったので見てみました。

 

 

 

いやあ、コアなファンがつくのがわかるほど、とにかくたっかい作画力。

私がこれまで観ていたアニメーションってなんなの?ってぐらいカッコイイ。綺麗とかじゃなくて、カッコイイ。

 

光の描き方が個人的には印象的。スポットライトがあたっている部分だけでなくて、暗い部分もちゃんと書き込みがされている。他にも暗がりのシーンって沢山出てきますが形がちゃんと分かる。陰影の描写が細かい。

バイクが走り去ったあとの残光が、そしてあのカッコイイバイクが、「暴走族」「不良少年」を「カッコイイ」「イカしている」ところにまで昇華してくれる。

今住んでる家の前を週一ぐらいで馬鹿みたいにうるさいバイクが通るのだけど、これが金田のバイクだったら許せるかもしれない。

 

子どもが寝てから鑑賞していたので音量はなるべく落としていたのですが、当然セリフもBGMもほとんど聞こえない。*1

それでも画面から目を離すことができませんでした。

 

秩序を保とうとする力。それを破壊する力。

この破壊されていく様を私達は延々と見せられていく。「生きていること」もそうだし、「日常生活」もそう、どれだけ技術力を向上させようとも、はたまた進化していこうともそれは完璧ではなく、いずれは壊れるもの。

世の中諸行無常よね。とにかくこの破壊の描写。ビルの崩れ方。石の飛び方。潰されたり、落ちていく人間たち。

なんだろうな、迂闊なことを言えないけれど、なんだか見ていて気持ちがいいというか。ドミノを最後チョンって倒すときの爽快感といえばいいのか・・・

 

友情とか愛情とかそういう心に訴える展開は何もない。登場人物も全員脊髄反射で動いてるような感じ。

でもそうした無機質な世界観を柔らかくしてくれているのが、金田たち不良少年。

私は後半、甲斐くんにやられてしまいました。ちょっと小柄でネクタイとかしてるビジュアルが好みだし、比較的あの狂った人たちのなかでまともに見えるんだもの。

 

それとこれはたぶんもっともっと私の文章表現力が高さや、絵やアニメーションに対する教養がないと説明できないんだと思うのですいません、月並みの表現ですが。

 

絵がめっちゃ上手いんですよ。人物の動きとかより全体の絵。ここに上手くいろんな情報を詰めている。それもわざとらしくなく。

破壊と秩序の不均衡が高まった世界。新聞配達をしている横で戦車が出動。軍の交通規制に文句を垂れる市井の人々。

街全体を見れば荒廃しているのに、ファミレスでは普通のカップルがいて、普通にウエイターが働いている。

このチグハグさを1枚の絵に上手く収められるクリエイター、アーティストがどれほどいるかっちゅう話です。

 

こうした世界で生まれる新人類。

鉄雄くん強かったなあ。強いのにめっちゃメンタル小物なのがまた良かった。めっちゃ言動がアホっぽくて。

衛星からレーザー(?)を照射するところはほんとに人間おっかないなと思ったけれど、それを更に上回る鉄雄くん。一人だけ世界観週刊少年ジャンプなのよね。

最後自身の力に耐えきれず、崩壊していくところも気持ち悪かった。

 

この新しい世界はすでに始まっている。AKIRAの力で哲雄くんは崩壊しても、他の生命体であれば耐えうるかもしれない。そうなれば急速に新世界が開けていくんだろうな。

 

 

 

*1:なんとなく端々から言ってることを推察する感じですね