マーゴット・ロビーは可愛かった。齢33(公開時)には見えない陶器肌・ぱっちりおめめ・抜群のプロポーション。
あんなコテコテレトロのワンピやハイレグを着こなせるのは彼女以外には居るまい。
コメディでマッチョなライアン・ゴズリングを堪能したくて観たのだけれど、圧倒的なマーゴット・ロビー✕フェミニズム圧。
昨今のフェミニズム原液をそのまま飲まされている感覚になったので苦手な方は要注意。
私も女性という身なので彼女らの主張はわからんでもないけれど、全世界の人間の目に触れるような媒体では声高に叫ぶのはやめてほしい。そういうのは身内だけの閉鎖的空間でお願いしたい。
まあそれはそれとして、この映画そのものにかなりガックシしてしまったというのが正直なところ。
あくまで私が個人的に感じたこと、というのは強調して・・・・残念だった点を2つ書こうと思います。
その1 バービーである必要がない
物語のなかのバービーはまんま我々の実生活に則しているあのバービー。ゆえにマテル社のプロモビデオ的映画になるのは必然。*1だからこそバービー人形にしかできないことを見せてほしかった。哲学とかジェンダー観なんかの思想系ってエッセンスとしてはいいと思うけれど、話の筋にするのはちょっと難がある。*2私としては人形の世界観をどう魅せるのかをもっと追求してほしかった。大金を投入した「映像」がコレかあ・・・。コレでアカデミー賞の作品賞にノミネートかあ・・・と。
例えば『ミニミニ大作戦』ってミニクーパーメインだけど、小型車の強みを活かしたアクションが新鮮じゃないですか。このときのジェイソン・ステイサム今ほどステゴロ感なくて爽やかでカッコイイじゃないですか(関係ない)
こういう感じで私はもっとバービー人形そのものを楽しみたかったかな。バービーには人種や背景が多種多様な個体がいる。これはリカちゃん人形にはないし、バービーだけが持つ強みだとは思う。だからこそバービーランドではもっと"Hi,Barbie!"以上のバービー同士の絡ませ合いが必要だったのではと思う。付属のおもちゃももっと出してよかっただろうし・・・。敢えての安っぽいCGもなんかうまく映えてなかったな。そのへんは我が国が誇る仮面ライダーや戦隊を見習ったほうがいいのでは?とも思ってしまいました。
っていうかそもそもバービーランドって要ったのか?セットや歌、ダンスは華やかだけど根本的にどういう場所なのか・・・。人間社会との相関関係も意味不明だし。人間がバービーランドに侵入しても何も起きないし、人間の世界でバービーの人形いっこも出てこないし、世界観の説明不足感が否めませんでした。
その2 マーゴット・ロビーの演技がびみょい
ビジュアルだけみれば完成度合いは申し分なし。予告だけ見ていてもこれは中々すごいものが見れるかもしれないとマーゴット・ロビーに対する期待値をあげてしまってました。
この作品のストーリーの筋は、人形であるバービーが感情や老いのある人間に惹かれ、自分自身も「そうなりたい」と感じていく――言わばアイデンティティの再構築にあります。ということはただの人形バービーと目覚めたバービーでの演じ分けが、この作品のド肝と言ってもいいと思うんですよ。それが残念なことにバービーの変化が全くわからない。マーゴット・ロビーちゃんと役作りしてたのかな?監督ともすり合わせとかしてる?って聞きたくなるぐらい演技が単調なんですよね。難しいでしょうけど、人形を演じるの。
これが出来ているだけで、30点の作品だったとしても70点ぐらいには見応え度は変わったと思います。
どれだけ見た目を完璧に近づけたとしても、所作云々でキャラ造形が一気に崩壊してしまう。ガラスの仮面ってこういうことだよなと心から理解。
そもそも1回観ただけでは話の意味が本当にわからなかったので他の方の考察を読んでやっと上記の意図が汲み取れたんですけどね。複数回見て、真のテーマを理解出来るような作品は好きではありますが、申しわけないけどどうにも余韻がフェミニズムすぎる。人間と人形の話だったら逆にこのフェミニズムがノイズなっとるんですよ・・・。マーゴット・ロビー他がバービー達を洗脳(?)から解いていくシーンは完全に置いてけぼり食らってましたもん。
ライアン・ゴズリングがアカデミー賞の場にて、グレタ・ガーウィグ監督とマーゴット・ロビーがアカデミー賞にそもそもノミネートされなかったことに対して苦言を呈していました。
映画未見でこの記事だけ読んだときは『オッペンハイマー』と同じくらい話題だったのにどうして?とは思っていました。観たら合点。そもそも映像作品として「うーん・・・」って感じ。
ちなみに息子にはこの映画、割と好感触でした。冒頭のバービーランドのシーンがキャッチーで明るくてピンクピンクでかわいらしいのでハマったようです。